ここではドブソニアン(ニュートン反射)の光軸調整に使用している機材を紹介します。 様々なツールを組み合わせ、簡単・確実・短時間に再現性良く光軸調整を行う事が目標です。

光軸調整用品
所有する光軸調整用品(左から Blackcat XL, Laser, tuBlug, Telecat XLS, Infinity XLKP)

なおここで紹介する光軸調整用品を使った光軸調整の前に「主鏡センターマークの貼り付け」「接眼部の傾き調整」を予め行っておく必要があります。副鏡センターマークは特に必要ではありません。

これらのツールを使ったニュートン反射の光軸修正法については以下のページにまとめました。 こちらも参照ください(2019年5月25日)。

Catseye Telecat XLS

Catseye Telecat XLS
Catseye Telecat XLS

サイトチューブ+十字線タイプの光軸調整アイピースです。 Telecat XLSはチューブの長さを調整することが出来るため、副鏡の位置調整、副鏡の回転調整が他の製品よりもより高い精度で行えるといった利点があります。

仕様
取り付け2インチスリーブ
大きさ (mm)φ57 x 133 ~ 224
重さ (g)197

サイトチューブとは

サイトチューブとはレンズの無いアイピース状の形をした筒で、一方の縁の中央にはピンホールがあけられています。反対側の縁には十字線があるものと無いものが市販されていますが、ニュートン反射の光軸調整を行う場合は十字線があるものを使います。(そのためこのウェブページでは「サイトチューブ+十字線」を単に「サイトチューブ」と呼ぶことにします。)

サイトチューブは副鏡の位置、回転の調整に使用します。 副鏡の位置・回転の調整はサイトチューブ以外の光軸調整用品では調整する事が出来ません。ニュートン反射をお持ちでサイトチューブをお持ちでない場合は購入されることをお勧めしますが、副鏡の位置や回転が厳密に合っていなくても「光軸」は合わせることができます。

サイトチューブは副鏡の傾き調整、主鏡の傾き調整のどちらにも使う事ができます。 まず副鏡の傾き調整を行い、その後主鏡の傾き調整を行います。

履歴

Howie Glatter 635nm high brightness red laser 2"

Howie Glatter 635nm high brightness red laser 2
Howie Glatter 635nm high brightness red laser 2"

レーザーコリメーターと呼ばれる光軸調整アイピースです。

仕様
波長 (nm)635
取り付け2インチスリーブ
大きさ (mm)φ54 x 87
重さ (g)395
使用電池CR123A (3V) x 1 本

レーザーコリメーターとは

レーザーコリメーターとは、レーザーポインターがアイピース状の形の筒の中心軸に位置と角度が正確に筒の中心軸と同一となるように取り付けられた光軸調整用の道具です。 レーザーポインターの位置と向きは正確にアイピース状の筒の中心軸と一致するように調整されているため、レーザーコリメーターから射出される光を追うことで光学系の傾きが正しいかどうか調べることが出来ます。

レーザーコリメーターは副鏡の傾き調整、主鏡の傾き調整のどちらにも使う事ができます まず副鏡の傾き調整を行い、その後主鏡の傾き調整を行います。

訂正

以前に私は主鏡、副鏡、接眼部の傾き誤差の全てが 0 なった状態を光軸が合った状態と定義していました。 しかしよくよく考え直してみたところ、ニュートン反射の光学系で「光軸が合った状態」とは「主鏡の光軸と接眼部の光軸が一致すること」と定義するのが正しいと考え直しました。 そのためこれまで「光軸が合っていないにもかかわらず光軸が合っているように見える状態」としてきた状態も、正しい定義では「光軸が合った状態」であることになりました。

私はこれまで何度か「レーザーコリメーターでは光軸が合っていないにもかかわらず光軸が合っているように見えてしまうことがあります」とウェブ上で発信してきましたが、これは正しくありませんでした。 レーザーコリメーターを始め、光軸調整アイピースで光軸が合っているように見えるのであれば、光軸は合っています。

以上、訂正します。(沖田博文 2019年5月22日)

履歴

Catseye Blackcat XL

Catseye Blackcat XL
Catseye Blackcat XL

チェシャ(Cheshire)タイプの光軸調整アイピースです。

仕様
取り付け2インチスリーブ
大きさ (mm)φ57 x 48
重さ (g)124

チェシャアイピースとは

チェシャアイピースの内側はドーナツ状の反射板となっており、この反射版を照明で照らして見る事で主鏡センターマークとの相対的な位置関係を調べることができます。

チェシャアイピースは主鏡の傾き調整に使います。 まず他の方法で副鏡の傾き調整を行い、その後、チェシャアイピースを使って主鏡の傾き調整を行います。

履歴

Howie Glatter tuBlug

Howie Glatter tuBlug
Howie Glatter tuBlug(左)とHowie Glatter 635nm high brightness red laser 2"(右)

バロードレーザーと呼ばれる光軸調整法で使用する凹レンズユニットです。 レーザーコリメーターと併せて使用します。

仕様
取り付け2インチスリーブ
大きさ (mm)φ56 x 165
重さ (g)266

バロードレーザーとは

バロードレーザーとは 2002年(2003年?)に Nils Olof Carlin によって考案された光軸調整の手法で、レーザーコリメーターの前にバローレンズ(凹レンズ)を用いる手法です。 バローレンズを用いる事でレーザー光が拡散光となるのがこの手法の特徴です。

バロードレーザーは主鏡の傾き調整に使います。 まず他の方法で副鏡の傾き調整を行い、その後、バロードレーザーを使って主鏡の傾き調整を行います。

履歴

Catseye Infinity XLKP

Catseye Infinity XLKP
Catseye Infinity XLKP

オートコリメータータイプの光軸調整アイピースです。 中央の穴に加えて、Catseye社のInfinity XLKP にはオフセット穴(アイピース中心ではない場所に空けられたピンホール)があり、この穴から覗くことで主鏡の傾きを容易に調整することが出来ます。

仕様
取り付け2インチスリーブ
大きさ (mm)φ57 x 48
重さ (g)99

オートコリメーターとは

オートコリメーターとはアイピース状の形をした、レンズが無く、その代わり中央にピンホールが開けられ、裏面が平面鏡となっている光軸調整用アイピースのことです。 裏面の平面鏡は筒の中心軸と正確にに直交するように調整されて取り付けられています。 (ちなみにオートコリメーターのオート(auto-)とは「自己」の意味の接頭辞です。自動で光軸調整を行ってくれる装置ではありません。)

オートコリメーター(の中央穴)では「主鏡上に投影されて見える主鏡センターマーク(合計 4つ見えます)」の位置がすべて一致するように調整する事で光軸を調整します。

オートコリメーターは他の光軸調整用品と比較して感度が 2 ~ 4 倍高く、光軸ズレに対して非常に敏感なツールです。 主鏡の傾き誤差、副鏡の傾き誤差、接眼部の傾き誤差の全ての誤差に感度があり、光軸があった場合にのみ、 4 つのセンターマークが 1 つに重なって見えます。

オートコリメーターは副鏡の傾き調整、主鏡の傾き調整のどちらにも使う事ができます。 ただし非常に感度が高いため、まず別の方法である程度光軸を合わせておく必要があります。 調整は、まず副鏡の傾き調整を行い、その後主鏡の傾き調整を行うことになります。

履歴

自作レーザーコリメーター

自作レーザーコーリメーター
自作レーザーコリメーター

過去にレーザーコリメーターを自作し、それを使っていました。詳しくは以下のページをご覧下さい。