ここではレーザーコリメーターで副鏡の傾きを調整する手順について考察します。

レーザーコリメーターとは?

レーザーコリメーターとは、レーザーポインターがアイピース状の形の筒の中心軸に位置と角度が正確に筒の中心軸と同一となるように取り付けられた光軸調整用の道具です。 レーザーポインターの位置と向きは正確にアイピース状の筒の中心軸と一致するように調整されているため、レーザーコリメーターから射出される光を追うことで光学系の傾きが正しいかどうか調べることが出来ます。

Howie Glatter 635nm high brightness red laser 2
レーザーコリメーターの例:Howie Glatter 635nm high brightness red laser 2"

何を、どこに合わせるのか?

レーザーコリメーターで副鏡の傾き調整をする場合、レーザーコリメーターを望遠鏡の接眼部に取り付けて使用します。 射出したレーザー光は 副鏡 → 主鏡 の順に反射することになります。 この「主鏡上のレーザースポットの位置」と「主鏡センターマークの中心」とを一致させるよう、副鏡の傾きを調整します。 以下の写真のように、主鏡上のレーザースポット(写真では赤い点)を主鏡センターマーク(写真では黄色に反射した放射能マーク)が一致するよう、副鏡の傾きを調整することになります。

レーザーコリメーターのレーザースポットの写真

計算結果

検討の結果、サイトチューブで副鏡の傾きを調整する手順と全く同じ計算となることがわかりました。 具体的な計算はリンクを参照ください。

よって主鏡の傾き誤差 α、副鏡の傾き誤差 β、接眼部の傾き誤差 γ がある場合、レーザーコリメーターで作られる「主鏡上のレーザースポットの位置」は

x = 0 α + 2a β - f γ

の位置に投影されることがわかりました。 これを「主鏡センターマークの中心

x = 0

と一致するよう、副鏡の傾きを調整することになります。