Nikon NAV-17HW

Nikon NAV-17HW side view
Nikon NAV-17HW。ゴム見口はテレビューのものに交換した。

4本目に購入した極超広角アイピース。 NAV-12.5HW + EiC-H10 の星像が極めてシャープで最高に楽しめたので同じシリーズのNAV-17HWも同様にシャープな像が得られる事を期待して、すぐにこのアイピースも購入することにした。

このアイピースは2インチスリーブ端から合焦位置までの長さが非常に長い。 単体でもEiC-H14使用時でも約58mmもある。 これはフランジバックから57mm+2/-4mmが最適位置の パラコア2 でギリギリ許容範囲に収まる長さだ。 (ただしパラコア2の可変バレル下部には直径46mm、厚さ1.5mmの「絞り」があるため完全に奥までアイピースを入れることが出来ない。 私はパラコア2の絞りをカニメレンチで外して完全に奥まで挿入できるように改造した。) なお実際の運用ではアイピースは可変バレルを A [-10.4mm] のポジションにして突き当たりまで入れて固定することになる。

この非常に長い2インチスリーブ内はぎっしりと前置レンズ群が詰まっているようで、非常に重たい。 前置レンズ群を可能な限り視野絞位置より前に出すことで、超広角とシャープな星像を実現する解をニコンは見つけたのだろう。 なお2インチスリーブ端から合焦位置までの長さを他の極超広角アイースと比較すると、Ethos 17mmで約45mm、Ethos 21mmで約51mmであり、NAV-17HWの約58mmはやはり際立って長い。

入射レンズ側から内部をのぞき込むと2インチスリーブ内側面はつや消し塗装されてない。 少し目を離して射出レンズ側から鏡筒内の反射を見るとスリーブ内部が明るく見える。 コントラストに影響が無いので塗装を省略したといった判断なのだろうか?

付属のEiC-H14は思いのほか薄い。 レンズがぎっしりと詰まっているような感じで、重い。 先端に2インチフィルターネジが切ってある。

付属のゴム見口はまったく役に立たない。 K Nebula氏の 毒を食わば... のウェブページを参考にテレビューのゴム見口(アイガードエクステンダー)に交換した。

サークルの後輩が所有するEthos 17mmと比較を行う機会を得た。 バックグラウンドの暗さ、星像のシャープさの両方において、NAV-17HWの方がEthos 17mmより勝っていた。 サイドバイサイドで比較すると違いは明らかだ。 ただしNAV-17HWのほうは目の位置がシビア。 アイレリーフが長いため最適な位置に目を位置しないとブラックアウトが生じてしまう。 これはテレビューのゴム見口で解決するが、この他にもNAV-17HWはアイピースの光軸と目の光軸が一致しないと視野周辺の一部が白く光って見えてしまうこともある。 顔を平行移動させ、目を適切な位置にもっていくことで解決する。 この現象は NAV-12.5HW では感じなかった。

Nagler Type4 17mm との比較では、星像のシャープさに有意な違いは見られなかった。 見かけ視野が広い分、NAV-17HWのほうが見ていて楽しい星像だった。 しかし星の色に関してはType4 17mmではっきりと識別できるのにNAV-17HWでは殆ど色は判らず、どれも白っぽく見えた。

NAV-17HW + EiC-H14と Ethos 13mm との比較では星像のシャープさに有意な違いは見られなかった。 ただしEthos 13mmで見える本当にかすかな微光星がNAV-17HW + EiC-H14では見えなかった。 (このかすかな微光星はNAV-12.5mmでも見えなかったので瞳径が違うことがその理由ではないと思われる。) レンズ枚数の違いからくる透過率の高さが原因だろうか? なお私のEthos 13mmは恒星か青っぽく見えるのに対し、NAV-17HW + EiC-H14ではニュートラルな発色をしているように思う。 そのため私はEiC-H14は普段は使わずNAV-17HWは17mmのアイピースとして使用している。


ただしNAV-17HWは私の機材(40cm F4.560cm F3.3、共に単眼)だと17 mmという焦点距離が中途半端に感じたのか、所有していた3年間を通じてほとんど使う機会は無く、結局2016年末に機材整理のため手放すことにしました。 NAV-17HWの星像には全く不満はなかったのですが、2016年7月に Ethos 21mm を入手してからは、低倍率ならやはりEthos 21mmを選択するようになり、本当にほとんど使わなくなってしまいました。

2022年12月追記。 いったん手放した Nikon NAV-17HW であったが美星天文台の口径101cm望遠鏡と組み合わせて使うと倍率約700倍、見かけ視野約0.14度、瞳径約1.4mmが得られ、シーイングさえ許せば最高の星像が得られると考えた。 そこで2022年9月に再度購入することにした。 2023年3月から開始する予定の 美星天文台天体スケッチ で使用してどんな星像が得られるか楽しみだ。

Nikon NAV-17HWの仕様
焦点距離17 mm (16.9 mm)
視野絞直径30.1 mm
見かけ視野102度
アイレリーフ16 mm
射出レンズ直径34.9 mm
重量888 g
レンズ構成7群10枚
ピント位置0.0 mm
パラコア2位置A [-10.2 mm]
生産国日本

註:カタログスペックより実測値を優先して記載。括弧内は視野絞直径から計算した値。パラコア2は可変バレルを A [-10.4 mm] のポジションにして突き当たりまでを入れて固定する。

参考写真

Nikon NAV-17HW top view
射出レンズ側から見たNikon NAV-17HW
Paracorr position
NAV-17HWの パラコア2 位置。左がNAV-17HW単体、右がEiC-H14装着時。 共に A [-10.2mm] のポジションにして突き当たりまで入れて固定する。
Nikon NAV-17HW bottom view
入射レンズ側から見たNikon NAV-17HW。2インチバレル内は塗装されていない。

履歴

Nikon NAV-12.5HW + EiC-H10

Nikon NAV-12.5HW side view
Nikon NAV-12.5HW + EiC-H10。ゴム見口はテレビューのものに、2''スリーブはHowie Glatter Parallizerに交換した。

Ethos 13mm より焦点距離の短いアイピースが欲しいと思いEthos 10mmとどちらを買うか悩んだ末に購入したアイピース。 後輩がEthos 8mmを所有していたが仙台の空ではシーイングが悪く性能を発揮できていないようだったので10mm前後の焦点距離を探していた。 なお購入の決め手はアマゾン(amazon.co.jp)に新古品が安く出ていたため。

NAV-HWの見かけ視野は102度で見かけ視野100度のEthosより2度広いことになるがその違いは分からなかった。 射出レンズ直径は34.8mmありEthos 13mmより一回り大きい。 側面のゴムベルトは寒冷地で触っても柔らかく、冷たく感じず秀逸に思う。

ただし純正のゴム見口は全く役に立たない。 カタログによると「目を密着できない高倍率観測時や駐車場などでの外乱光を防ぐため遮光フード」と書かれているが、私の場合はこれらの条件が全く当てはまらない。 40cmドブは少々額が触れようがびくともしないし、外乱光があるような所ではそもそも見ない。 メガネは外して観望する。 K Nebula氏の 毒を食わば... のウェブページを参考にテレビューのゴム見口に交換して快適に観望できるようになった。

NAV-12.5HWにEiC-H10を付けると パラコア2 では最適位置で合焦できない。 そこで2''スリーブをHowie Glatterの Parallizer に交換した。 まだ実測していないが計算上はこれでパラコア2の最適位置で合焦できる。

NAV-12.5HW単体とEthos 13mmを比較したところ、この2本のアイピースに有意な差を見いだすことは出来なかった。 覗きやすさでは間違いなくEthos 13mm。 そのため13mm前後のアイピースを選ぶならあえてNAV-12.5HWを選ぶことはないだろう。

次にNAV-12.5HWにEiC-H10を取り付けて10mmのアイピースとして使用した場合だが、これは特筆に値する。 驚くべき事に倍率が高くなったにもかかわらず、NAV-12.5HW単体やEthos 13mmと比較して明らかにシャープな星像が得られる。 カタログには「EiC-H10によってさらに収差(像面湾曲、非点隔差)を良好に補正します」と書かれているが、もともと10群12枚構成の焦点距離10mmのアイピースとして設計されたのではないかと思ってしまう。 きっと10群12枚で設計していて、あるとき最前の1群を外しても許容できる星像が得られることに気がついて取り外し可能な構造にしたんだろう。

いずれにしてもNAV-12.5HW + EiC-H10のシャープな星像は虜になる。 そのため私は常にEiC-H10を取り付けて10mmのアイピースとして使用している。 最高のアイピースだ。

Nikon NAV-12.5HW + EiC-H10の仕様
焦点距離10 mm (10.1 mm)
視野絞直径17.9 mm
見かけ視野102度
アイレリーフ16 mm
射出レンズ直径34.8 mm
絞り環位置-6.8 mm
重量772 g / 685 g
レンズ構成8群12枚
ピント位置-4.1 mm / -10.6 mm
生産国日本

註:重量、ピント位置、パラコア2位置は Howie Glatter Parallizer/ 純正2''スリーブ 使用時の順に記載。 絞り環位置は Howie Glatter Parallizer 使用時の値。 カタログスペックより実測値を優先して記載。括弧内は視野絞直径から計算した値。

参考写真

Nikon NAV-12.5HW top view
射出レンズ側から見たNikon NAV-12.5HW

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