天体写真の技法、モザイク合成を天体スケッチに応用することを考えました。 ここではモザイク合成の意味と具体的方法、そして実践例を紹介します。
モザイク合成とは1フレームの写野では収まりきらない大きく広がった天体を、ほんの少しの重複部分を設けて視野をずらして複数フレーム撮影しそれらを合成する(つなぎ合わせる)ことでより広い写野を得るという撮影技法です。 広い写野を得る為には広角レンズを用いて撮影するのが一般的ですが、焦点距離が短いために解像度が悪くなりシャープさに欠けることから近年モザイク合成は天体写真マニアの間で盛んに行わるようになってきました。
モザイク合成が注目されるようになったのは平坦な写野を得られかつ星像の鋭い光学系が市販されるようになったこと、デジタルカメラで撮影してパソコン上で容易に合成できる(すべてデジタル処理出来る)ようになったことが要因と考えられます。 もちろん容易にとは言いましたが位置合わせや色の調整など自然な写真に仕上げる為には高度な技術が必要と思います。
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何はともあれ、この天体写真の技法「モザイク合成」を天体スケッチにも応用することを考えました。つまり、大きく広がった天体を視野を少しずらして複数枚スケッチし、パソコン上で合成するということです。このスケッチのモザイク合成はずばり、大口径望遠鏡の弱点「最低倍率の壁」を完全に克服する技法であると言えます。
大口径望遠鏡の「集光力」「分解能」をそのまま生かし、一度に見ることの出来ない広がった天体をスケッチによって浮かび上がらせる、というわけです。
天体写真と違い、スケッチでは視野内に見えた星を「すべて」「正しい位置」で記録はできません。 スケッチの場合はあくまで目標天体を記録するのですから星は目立つもののみを描き、また位置はアイピースの歪曲もあるので正しい位置とも限りません。 このことはスケッチの弱点といえば弱点ですがモザイク合成では利点といえます。 つまり適当にそれっぽい位置に重ねさえすれば良い(=その程度の精度しか出せない)ということです。 もちろんただ重ねただけでは1つの星が二重星のように記録されてしまうので1つは消す必要があります。
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実際にスケッチのモザイク合成をする方法を紹介します。 私は通常の天体スケッチの加工でも使っているフォトショップを用いて以下の手順で行っています。 もちろんこれらを行う前に 天体スケッチについて で紹介した画像の読み込み等の作業をあらかじめ行う必要があります。
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天体スケッチのモザイク合成をに行った回数は少ないですが徐々に数を増やせればと思っています。
詳しくは C33,C34網状星雲 をご覧ください。
スケッチ日時 | スケッチNo. | 実視野 | 位置 |
---|---|---|---|
2008年6月30日 | No.80 | 1.2度 | 左から1番目 |
2008年7月12日 | No.88 | 1.2度 | 左下 |
2008年7月1日 | No.83 | 1.2度 | 中央左 |
2008年7月12日 | No.87 | 1.2度 | 中央上 |
2008年7月1日 | No.82 | 1.2度 | 中央右 |
2008年7月1日 | No.84 | 1.2度 | 右上 |
2008年6月30日 | No.81 | 1.2度 | 右下 |
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詳しくは M45プレアデス星団 をご覧ください。
スケッチ日時 | No. | 実視野 | 位置 |
---|---|---|---|
2008年10月1日 | No.93 | 1.2度 | 右 |
2008年10月1日 | No.94 | 1.2度 | 左 |
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詳しくは IC434馬頭星雲、NGC2024燃える木 をご覧ください。
スケッチ日時 | No. | 実視野 | 位置 |
---|---|---|---|
2011年10月26日 | No.146 | 0.85度 | 左上 |
2011年10月27日 | No.147 | 0.85度 | 右下 |
2011年10月31日 | No.150 | 0.85度 | 右上 |
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