2日前の10月13日と比べて淡く細くなった印象。 しかし尾は逆に長くなって15度以上はありそう(星図と比べたところ18~20度程度と推定)。 この日は薄明が終わったと思ったら今度は満月近い月明かりで空がどんどん明るくなっていって、彗星自体も淡くなったこともあって、しっかり見ていないと見落としてしまいそうだった。 コアの明るさはへび座α星 (2.6等) やへびつかい座δ星 (2.7等)より少し暗いぐらい、へびつかい座ε星 (3.2等) と同じくらいだったので3等級程度と見積もった。
少し淡くなったけど、まだまだはっきりと肉眼で見える。 何より薄明や月明かりのある中で15度以上の尾が見えるのは驚くべき光景。 まさに、帚星(ほうきぼし)、いや、大帚星(おおほうきぼし)だと思った。 東の空にはほぼ満月の月。 奇しくも2024年で一番大きく見えるスーパームーンとのこと。 万葉人ならこう詠んだだろう。
「西の野に 大帚星(おおほうきぼし)の 立つ見えて かへり見すれば スーパームーン」
感動のあまり自分でも何がなんだか訳が分からないが、とにかく大感動。 そして大満足。 またいつかこんな彗星が見たい。
C/2023 A3 | へび座 | 彗星 | (3等級) | (18-20°) | 0.49天文単位 |
スケッチ日時 | 2024年10月15日18時50分~20時00分 山の稜線は19:15頃 |
観測場所 | ハワイ島 マウナロア山 スイッチバックから1.4マイル (海抜2,670m) |
使用機材 | なし(眼視) |
10月13日(左)と10月15日(右)の比較。 淡くなったけど尾は長くなったのがわかる。
この日は無理言って妻も一緒に星見に行きました。 彗星と一緒に記念撮影。
彗星とは大和言葉で「帚星(ほうきぼし)」。 まさにその通りだ。 まっすぐに細く長く伸びた尾が印象的。 尾の長さは10度以上も伸びている(あとで星図と見比べたところ12~13度はあると見積もった。 コアは鋭く明るい。 これはすごい、大彗星だ。
27年前、1997年の春に小学生の頃に見たヘールボップ彗星以来、こんな彗星が見たかった。 そして今夜ついに見ることができた。 さらにまさかの眼視スケッチ。 望遠鏡や双眼鏡は不要、それぐらい大きい。 本当に信じられないけど目の前にはっきりと彗星が見えている。 肉眼でも見えるじゃなくて「肉眼で見るのがベスト」。 こんな彗星は本当にヘールボップ彗星以来だ。
星に興味を持って、決定的に好きになったきっかけは紛れもなく小学5~6年生の春に見たヘールボップ彗星だった。 その時には将来自分が Ph.D. をとってハワイで天文を仕事にして、そしてハワイで再び大彗星を見上げているだなんて夢にも思わなかった。 でも間違いなく僕を突き動かしてここに連れてきたのはあの時のヘールボップ彗星だった。 そして今、あの時見た光景を、もしくはそれ以上の光景を、ここに見ることができた。 今回はさらにこの感動をスケッチで描くこともできた。 このスケッチを見る度に、この日の感動が蘇ってくる。 本当に大感動。
コアの明るさはさそり座α星 (アンタレス、0.9-1.1等) より暗くてさそり座δ星 (1.6-2.3等) と同じくらいだったので1.5等級程度と見積もった。 尾はへび座α星付近まで伸びていて、前述の通り 12-13°ぐらいと見積もった。
C/2023 A3 | おとめ座 | 彗星 | (1.5等級) | (12-13°) | 0.47天文単位 |
スケッチ日時 | 2024年10月13日18時55分~19時40分 山の稜線は19:10頃 |
観測場所 | ハワイ島 マウナロア山 スイッチバックから1.4マイル (海抜2,670m) |
使用機材 | なし(眼視) |
この日は写真も撮っていました。 Canon G7X MarkII, 16mm, F2.5, 8sec, ISO1600.
18:00 マウナケア山が夕日で赤く染まる、マウナロア山の観測地点は既に影の中
18:08 金星が見つかる
18:22 アークトゥルスが見つかる
18:30 双眼鏡で紫金山アトラス彗星がかすかに見える
18:32 肉眼でもかろうじて分かる、山の稜線から8°ぐらい
空が明るいがとりあえず望遠鏡でスケッチをとる。 視野内に星は全く見えない。 彗星のコアは小さい。 そのすぐ外側は東西に糸巻き(砂時計)のような形の構造があるように感じる。 尾は2本。 北に伸びる尾は淡く広がる。 北西に伸びる尾はすっと伸びる印象。 さらにその西側にすっと細い筋のような尾もあるような気がする。
C/2023 A3 | おとめ座 | 彗星 | (1.5等級) | (12-13°) | 0.47天文単位 |
スケッチ終了日時 | 2024年10月13日18時40分~52分 |
観測場所 | ハワイ島 マウナロア山 スイッチバックから1.9マイル (海抜2,670m) |
使用機材 | 自作15cmドブソニアン + XW5 (200倍、0.35度) |
アイピースを XW5 に変えて450倍、見かけ視野0.16度で見た。 視野内に他に明るい星は見えない。 彗星の構造を見るにはこれぐらいの倍率が必要そう。 核はやはり楕円で、その両端からヒゲのように伸びる明るい構造が見える。 核のまわりや進行方向に淡いコマのような明るいガスがあるがショック面のような構造があるわけではない。 長く伸びる尾は両端が明るく中央が僅かに暗く感じた。 全体的に非常に滑らか。
尾の幅は視野の1/4ぐらいなので0.04度(2.4分角)、確かに細い。 ファインダー(や肉眼)で見た尾の長さは概ね2度ぐらい。 薄明中の同じぐらいの高度にある星、しし座δ星 (2.6等)、しし座θ星 (3.3等) と比較して彗星の明るさは概ね3等級と見積もった。 薄明るくなっていく空で肉眼でもはっきりと尾を持った彗星らしい姿が見えた。
C/2023 A3 | ろくぶんぎ座 | 彗星 | (3等級) | (2°) | 0.98天文単位 |
スケッチ終了日時 | 2024年9月26日29時17分 |
観測場所 | ハワイ島 マウナロア山 スイッチバックから1.9マイル (海抜2,670m) |
使用機材 | 自作60cmドブソニアン + SIPS + XW5 (450倍、0.16度) |
自作60cmドブを向けられるギリギリの低空に向けて彗星が昇ってくるのを待った。 彗星の位置は赤緯-6度で概ねM42オリオン大星雲と同じ。 事前にオリオン大星雲が昇ってくる時に方角を確認しておいた。 4:47に高度0度で昇ってくる。 しばらくファインダーで探すも彗星は見えない。 すぐ横でカメラを構えていた日本から来た友人が「もしかしたらこれでは?」と言ったので見に行ったら尾だけがまっすぐ伸びて写っていた。 自分の望遠鏡に戻ってしばらくしていたら見えてきた。 ファインダーで見た印象は尾がまっすぐ長い。
60cmの視野にも入ってきたので友人にも見てもらい、その後早速スケッチを開始。 思ったよりも核は小さい。 Ethos 21mm、110倍、見かけ視野0.92度だと倍率が低すぎるようだ。 核は楕円で少し横方向に長い。 この楕円の核の長辺の両端付近からヒゲのようなガスの濃い領域が見える。 そこから西に向かって尾は滑らかに接続して細く長く伸びて見えた。 尾の色は白っぽい黄色に見えたのが印象的だった。
C/2023 A3 | ろくぶんぎ座 | 彗星 | (3等級) | (2°) | 0.98天文単位 |
スケッチ終了日時 | 2024年9月26日29時03分 |
観測場所 | ハワイ島 マウナロア山 スイッチバックから1.9マイル (海抜2,670m) |
使用機材 | 自作60cmドブソニアン + SIPS + Ethos 21mm (110倍、0.92度) |