有名な銀河鎖であるマルカリアンチェーンを天体スケッチした。 マルカリアンチェーンはおとめ座銀河団の一部で、明るく大きな銀河がほぼ一列に連なって僅かに弧を描きながら続く、低倍率で見て面白い領域。 不思議と見えているのは明るい大きな銀河だけで小さく暗い銀河も本当は多くひしめいているのだろうけれどそれらはほとんど気が付かない。
まず南西のM84, M86がひときわ明るく見える。 等級も9.2等、8.9等と他の銀河よりひときわ明るい。 M84とM86を比べると大きさはM86のほうが少し大きく感じる。 M86のほうが少し潰れた楕円。 いずれも楕円銀河のためか目立った特徴は特に感じられない。 滑らかにどっしりとその存在がひときわ目立つ。 M86を視野中心にすると淡い銀河も含めて10コ銀河が見えてくる。 一番暗いIC3303でも13.7等と比較的明るい。
次に視野を北東方向に振っていくとNGC4438, NGC435のペアが見えてくる。 NGC4438は特異銀河で Arp120 としても知られる。 南北方向に淡い構造が伸びているのがこの倍率でもかすかに分かったがこの倍率での印象としては普通の渦巻き銀河のようだった。
さらに北東に視野を振るとNGC4477, NGC4479のペアが見え、一旦ここで銀河鎖は終わりといった印象となる。 ただし少し視野を西に戻してさらに北に振るとNGC4459とさらに暗い銀河2つ、合計で3つの銀河が見えてくる。 さらにさらにここからぐいっと望遠鏡を東に振ると M88 と NGC4548 (M91) も見えてくる。 本当はこれらまでも含めて1枚のスケッチに描きたかったが時間切れとスケッチ用紙からもはみ出してしまうことがわかり、スケッチは諦めた。
スケッチ後に星図と見比べたところNGC4446とNGC4447といった小さく淡い銀河がNGC4468の西にあったようだがこれらは見落としていたようだ。 これらは13.8等、14等と暗く、また大きさも1分程度と小さいようだ。 後から同じ倍率で見たところ見ることができたけれど、スケッチ中には全く気が付かなかった。
明るい銀河が多数見られ、低倍率で素晴らしい眺め。 南西から北西に望遠鏡の視野を振って望遠鏡を動かしていくとどんどん明るい銀河が視野に飛び込んできて、本当に面白い。
M84 (NGC4374) | おとめ座 | 銀河 | 9.2等 | 6.7'x6' | 5990万光年 |
IC3303 | おとめ座 | 銀河 | 13.7等 | 1'x0.6' | |
NGC4387 | おとめ座 | 銀河 | 12等 | 1.9'x1.1' | 6970万光年 |
NGC4388 | おとめ座 | 銀河 | 11等 | 5.6'x1.5' | |
NGC4402 | おとめ座 | 銀河 | 11.8等 | 4.1'x1.1' | |
M86 (NGC4406) | おとめ座 | 銀河 | 8.9等 | 9.8'x6.3' | 5590万光年 |
NGC4413 | おとめ座 | 銀河 | 11.9等 | 2.3'x1.4' | |
NGC4425 | おとめ座 | 銀河 | 11.9等 | 3.4'x1' | |
NGC4435 | おとめ座 | 銀河 | 10.8等 | 3'x2.2' | 5050万光年 |
NGC4438 | おとめ座 | 銀河 | 10等 | 9.3'x3' | 5000万光年 |
NGC4458 | おとめ座 | 銀河 | 11.8等 | 1.9'x1.5' | 5620万光年 |
NGC4459 | おとめ座 | 銀河 | 10.4等 | 4'x3.1' | 5270万光年 |
NGC4461 | おとめ座 | 銀河 | 11.1等 | 3.7'x1.4' | |
NGC4468 | おとめ座 | 銀河 | 12.7等 | 1.5'x1.1' | 5170万光年 |
NGC4473 | かみのけ座 | 銀河 | 10.2等 | 4.5'x2.6' | 5120万光年 |
NGC4474 | かみのけ座 | 銀河 | 11.5等 | 2.4'x1.6' | |
NGC4477 | かみのけ座 | 銀河 | 10.4等 | 4'x3.3' | 5510万光年 |
NGC4479 | かみのけ座 | 銀河 | 12.5等 | 1.8'x1.3' |
スケッチ日時 | 2024年2月10日26時30分~29時20分 |
観測場所 | ハワイ島 マウナロア山 スイッチバックから1.4マイル (海抜2,670m) |
使用機材 | 自作60cmドブソニアン + SIPS + Ethos 21mm(110倍、0.92度), スケッチの範囲は約2.0度×2.0度 |
視野内にたくさんの銀河が見える(6個)。 マルカリアンの銀河鎖と呼ばれる、M84 → M86 → NGC4435, NGC4438 → NGC4458, NGC4461 → NGC4473 → NGC4477, NGC4479 → NGC4468, NGC4474 → M88 と続く銀河が鎖状に連なって見える領域。 天体物理学者 B. E. Markarian にちなんで命名されたとのこと。 楕円銀河だからなのか、はっきりした形が無く、ただぼやーっと広がった印象。 描き方が荒いのでそのように見えてしまうけれど、腕のような構造があるわけではない。
M84 | おとめ座 | 銀河 | 9.5等 | 3' | 6000万光年 |
M86 | おとめ座 | 銀河 | 9.5等 | 4' | 6000万光年 |
NGC4402 | おとめ座 | 銀河 | |||
NGC4378 | おとめ座 | 銀河 | |||
NGC4388 | おとめ座 | 銀河 | |||
NGC4425 | おとめ座 | 銀河 |
スケッチ終了日時 | 2008年3月6日26時00分 |
観測場所 | 宮城県石巻市牡鹿町御番所公園 |
使用機材 | 自作40cmドブソニアン + パラコア + Nagler Type4 17mm (120倍, 0.67度) |