シリウスBのスケッチ

口径15cmでシリウスAの回折リングで10~12本目ぐらいに相当する位置に淡い星が見えた。 これがシリウスBと思われる。 シリウスAの東側。 非常に淡く直視し続けると見えなくなる。 「そらし目」で見るとそれらしい星が見え、いったん見えるようになるとしばらく見え続けた。 シーイングにとても敏感でかろうじて見えている感じ。 シリウスAの回折リングや散乱光によって背景が明るく、それがシリウスBの検出を困難にしているようだ。 他にも回折光なのか目の錯覚なのか、小さな輝点も見えたり見えなかったりした。 この偽の輝点はシリウスBよりもシリウスAに近い位置に見えた。 おそらく回折リングの一部が気流や鏡面の収差で一点だけ明るくなって見える瞬間があったのだろう。

シリウスAは鋭く明るく見える。 そして面積があることがはっきりわかる。 これがエアリーディスクと思われる。 そのすぐ外側に第1暗環、第1明環、第2暗環・・・と5本目ぐらいまでの回折リングがはっきりと見えた。 ただしドブソニアンで手動追尾のためリングの本数を正確に数えるのは困難でこれは諦めた。 この回折リングはチカチカと気流の状態によって途中で切れたり明るくなったりして見えたが、全体的には全周を綺麗に均一に取り囲んでいるように見えた。 6本目以降の回折リングははっきりとは見えないが、回折リング自体はずっと外側まで続いているように感じた。

シリウスAの散乱光もシリウスBの検出を困難にしているようだった。 散乱光は光学系のラフネスや汚れが原因で生じていると思うが、この散乱光は放射状に広がっていて、その広がりはシリウスBの2倍の距離ぐらいまで見えた。

他にも4本スパイダーの回折光が面白く感じた。 シリウス付近では回折リングのほうが明るくスパイダーの回折光はシリウスには接続していないように見えた。 そして10本目のリングぐらいから回折光が見えはじめ、いったん明るくなって、暗くなって、・・・を繰り返すように見えた。 ピントがばっちり合うとスパイダーの幅は非常に鋭く見えたが、気流が少しでも悪くなるとたちまち幅があるように見えた。

なお今回のスケッチではアイピースの視野の中心およそ20%程度の範囲のみをスケッチした。

また今回のスケッチで意外と月明かりや観望場所の周辺の光などの影響でシリウスBが見えなくなることに気が付いた。 このスケッチの一週間前にもシリウスBを探したがこの時は満月付近の月が近くにあり、また自宅の照明も暗くしていなかったためか、シリウスBらしき星は見つけられたものの、確信を持ってシリウスBを見たとは思えなかった。 シリウスBを見るためには暗い銀河や星雲を見るのと同じような条件が必要なのだと思った。

最後に自作15cmドブソニアン(口径151.6mm、中央遮蔽率25.5%)で予想されるシリウスの強度分布を以下に示します。 波長550nmで計算し、瞬間的なシーイングを考慮して0.1秒角のガウシアンを畳み込み積分しました。 14本目、15本目の回折リングに重なるようにシリウスBは見えていたようで、概ね観望・スケッチの結果と一致しました。

シリウスの予想される強度分布

天体のデータ
Sirius Aおおいぬ座主系列星-1.44等-8.58光年
Sirius Bおおいぬ座白色矮星8.50等-8.58光年
スケッチデータ
スケッチ終了日時2022年1月22日24時30分
観測場所ハワイ島 ヒロ 自宅(海抜100m)
使用機材自作15cmドブソニアン + 2.5x Powermate
+ Morpheus 6.5mm (390倍, 0.20度)
視野の中心およそ20%程度の範囲のみをスケッチ

シリウスB

シリウスBのスケッチ

シリウスBのスケッチ

シリウスBが見えた! スパイダーの回折像の中に埋もれるように、しかし点光源としてはっきりと重なっているのがわかる。 注意してみないと見落としてしまいそう。 シリウスBの離角は10秒角でリゲル(離角9.5秒角の二重星)が参考になる。 ポジションアングルは星図ソフト(Sky Safari Pro)を参考にした。 周りの星の位置を見比べてシリウスBが見えていると確信した。 離角は10秒角なので意外と離れていると感じた。 この日は特にシーイングが良かった。 シーイングに恵まれた結果見えたのだろう。

天体のデータ
Sirius Aおおいぬ座主系列星-1.44等-8.58光年
Sirius Bおおいぬ座白色矮星8.50等-8.58光年
スケッチデータ
スケッチ終了日時2013年10月7日27時45分
観測場所宮城県刈田郡蔵王町 蔵王山賽の磧駐車場
使用機材自作40cmドブソニアン + UWA 6.7mm (270倍, 0.31度)