ドブソニアンの架台部分をロッカーボックスと呼んでいます。この部分は望遠鏡の重さを支えるとともに、左右回転、上下回転の軸となる重要な部分です。
本体は12mm厚のコンパネを2枚重ね、ボンドで貼り合わせて作りました。 強度的には必ずしも2枚貼り合わせにする必要はないと思いますが、重いことは、ある意味で必要悪でもあると考え、 あえて2枚貼り合わせで作りました。結果的にたわみなどを感じることはありません。
5mm x 25mm x 30mm のテフロンをそれぞれ2ヶ所ずつ、合計4ヶ所で支えています。 テフロンはボンドで貼り付ける事が出来ないので、穴を開けて木ねじで固定しています。 取り付ける位置によって回転の重さが変わるのですが、The Dobsonian Telescope を読むと70度の間隔が 理想的だと書かれていたので私の望遠鏡も70度離れた位置にテフロンが来るようになっています。 なお、耳軸の方にはステンレス板を貼っています。
6mm x 25mm x 50mmのテフロンを120度間隔で3ヶ所、あと回転軸付近に1m厚で直径50mm程度のテフロンを 5枚重ねて入れています。テフロンで受ける反対側はステンレスの薄い板です。 なお水平軸はその中心軸が重要になります。この中心軸が少しでも傾いていると回転が部分的に重くなったりします。 また穴が大きいとたわみや揺れの原因となります。私はM8ネジで軸の中心を作りましたが、 軸受け側はただ木に穴を開けるのではなく外径10mm内径8mmの真鍮パイプを入れて頑丈に作りました。 軸受けの穴を開けるときは材料の大きさからボール盤が使えず、垂直に穴を開けるのに苦労しました。
望遠鏡を組み立てたまま運んだりするためにロッカーボックスに運搬用ハンドルを取り付けられるようになってます。 M8のオニメナットを埋め込んで作りました。
テフロンは動摩擦抵抗と静止摩擦抵抗が極めて近い素材のようです。 一般に普通の物質は静止摩擦力より動摩擦力の方が小さいです。 これは動かし始める時に大きな力が必要で、一度動き出したら軽い力で動き続けるということを意味します。 ドブソニアンのようなフリーストップの架台ではこのことは重要です。 静止状態から動状態になったとたん、力が大きすぎて必要以上に動いてしまうことになるからです。 テフロンのような静止摩擦力と動摩擦力が極めて近い素材であれば、徐々に力を加えていき、静止状態から動状態になったときでも必要な力はほとんど 変わらないので(摩擦抵抗がほとんど変わらない)、自分が意図するように操作することが出来ます。
なお、以前テフロンが手に入らなかった時はホームセンターでどこでも売っているカグスベール のようなフローリングに傷を付けないようにするものを使っていたのですが、家具スベールには「滑る素材」のほかに「発砲ウレタンのようなやわらかい層」があります。 この層がある為か、そのまま軸受けの素材にすると望遠鏡がゆらゆらと揺れてビシッと止まりませんでした。
私は身近でテフロンが入手できなかったので通販で購入しました。