ここではサイトチューブで副鏡の傾きを調整する手順について考察します。
サイトチューブとはレンズの無いアイピース状の形をした筒で、一方の縁の中央にはピンホールがあります。反対側の縁には十字線があるものと無いものが市販されていますが、ニュートン反射の光軸調整を行う場合は十字線があるものを使います。(そのためこのウェブページでは「サイトチューブ+十字線」を単に「サイトチューブ」と呼ぶことにします。)
サイトチューブで副鏡の傾き調整をする場合、サイトチューブを望遠鏡の接眼部に取り付け、中央のピンホールを覗き込み、そこから見える「主鏡上に投影されたように見える十字線」と「主鏡センターマークの中心」とを一致させるよう、副鏡の傾きを調整します。 以下の写真のように、サイトチューブの十字線(すぐ近くなのでピンボケです)と主鏡センターマーク(写真では赤色に反射した放射能マークです)が一致するよう、副鏡の傾きを調整することになります。
以下に計算結果を示します。
よって主鏡の傾き誤差 α、副鏡の傾き誤差 β、接眼部の傾き誤差 γ がある場合、サイトチューブを覗くと「主鏡上に投影されたように見える十字線」は
x = 0 α + 2a β - f γ
の位置に見えることになることがわかりました。 これを「主鏡センターマークの中心」
x = 0
と一致するよう、副鏡の傾きを調整することになります。