いつも観望で訪れているハワイ島マウナロア山の中腹・海抜2,670m地点から見た夏の天の川。 広視野スケッチ の手法を用いて、直径75mmに丸くくり抜いた黒色の厚紙を基準に星の位置をプロットしてA4サイズのコピー用紙一杯に描いてみた。
マウナロア山ギリギリにポインタ-(αケンタウリ、βケンタウリ)が見える。その付近は暗黒帯なのか、天の川としては見えないけれど、このあたりがちょうど天の川の起点となる。 ここからおおかみ座、じょうぎ座、さいだん座を淡い広がりと濃いクランピーな構造がいくつも連なりながら抜けていき、さそり座の当たりで天の川は最も濃く、また暗黒帯も複雑になる。 さそり座、アンタレス付近へびつかい座にかけて淡く大きくバルジが広がる。 一方でいて座、みなみのかんむり座の方には広がりは見えない。さそり座、いて座の付近は非常に複雑で、明るい領域がクランピーに連なり、暗黒帯が複雑に刻んでいる。 その後、天の川流れは少しずつ淡くなりながら、たて座、わし座を流れていく。 へび座のあたりは大きく広がった暗黒帯というか天の川の見えない領域があって、この暗い領域によってへびつかい座からさそり座にかけてのバルジの存在が強調される。 天の川はわし座からや座のあたりでいったんすっと暗くなり、このあたりで流れはいったん落ち着いて、夏の大三角からカシオペア座への新たな流れがはじまる。
ここハワイ島で始めて天の川を見た時の感動は今でもはっきりと覚えている。天体写真ではなくいつか天体スケッチで描きたいとおぼろげに思っていたけど気が付けば10年以上経っていた。 技術と経験が追いついて、今回やっと描くことができた。
スケッチでは星の数は端折らず限界ギリギリまで描いたつもり。天体写真と天体スケッチ(眼視)とでは印象が異なるけれど、それは実は星の数なのかも知れない。 眼視だと暗い星は見えないけれど明るい星は実際よりも明るく大きく輝いて見える。淡く大きく広がった構造は眼視でも写真と同程度には見えるいるようだけど分解能は全然違って細かいところは本当によくわからない。 星空を見上げた時の感動は、やっぱり天体スケッチでしか描けないと思う。
スケッチ終了日時 | 2024年7月27日20時05分~24時20分 2024年7月28日19時55分~22時30分 |
観測場所 | ハワイ島 マウナロア山 スイッチバックから1.4マイル (海抜2,670m) |
使用機材 | なし(眼視) |