望遠鏡の視野よりも大きく広がった天体をスケッチしたい、倍率を上げて詳細をスケッチしながら全体もスケッチしたいと考えました。 そこで「広視野スケッチ」を考えました。 ここでは広視野スケッチの具体的な方法と実践についてまとめます。
大口径の望遠鏡は「集光力」「分解能」に優れ淡い天体の詳細を見ることを可能にします。 一方で「低倍率」「広視野」が得られない弱点があります。 これは瞳径が7mm以上は大きくならないというヒトの目の性質によるもので、天体スケッチをする上での大きな制約となっています。
加えてヒトの目の性質から淡い天体の場合にはある程度大きく拡大して見ないと(高倍率にしないと)見えないことにも気が付きました。 具体的にはヒトの目は 1.5度 よりも小さな淡い構造を見分けることができません。 小さくて淡い天体や複雑な構造をもつ天体は、高い倍率で大きく拡大しないとその詳細を見ることができません。
そのため詳細を見るために高倍率を使用したいけれど視野からはみ出してしまって一度に見ることができない、なので見えた感動をスケッチできないといったジレンマがありました。
そこで大口径望遠鏡の「集光力」「分解能」を生かしたまま、「低倍率」「広視野」が得られないという弱点を克服して天体スケッチを描く方法、「広視野スケッチ」を考えました。
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大口径望遠鏡の「集光力」「分解能」を生かしつつ、「低倍率」「広視野」を得られる天体スケッチの方法を考えた結果、白紙のスケッチ用紙に黒い厚紙をくり抜いて作った「視野絞」を自由に動かしながらスケッチすることを思いつきました。 私はこの手法のことを「広視野スケッチ」と呼ぶことにしました。 スケッチのモザイク合成 に近い技法ですが、広視野スケッチではパソコンを使わず1枚のスケッチ用紙に観望地でその場で描いていくといった違いがあります。
具体的には以下に挙げるような黒い厚紙に直径75mmの穴をあけ、これを使って視野を移動させて1枚のスケッチ用紙(白紙のコピー用紙)に天体をスケッチを行います。
まず1視野分の恒星をプロットし、次に1/2~1/3程度オーバーラップさせるように黒い厚紙を動かして隣の領域も恒星をプロットします。 これを繰り返すことで視野を広げてスケッチ用紙に天体を記録していくことになります。 視野円を基準に星のプロットをしていくため、位置も正確にスケッチすることができるはずです。
しかし星と星の位置関係はかなり丁寧に確認しないと徐々にズレてきて、そのうち破綻します。 どこをスケッチしているのか、また見ている星が既にプロット済みの星かどうかなど、丁寧に確認しながら集中した作業が必要で、技術的にかなり難しいスケッチになります。 また視野が広く、確認が必要なため、スケッチを描く所要時間がかなり長く必要にです。
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技術的に描くのが難しく、また必要な時間も桁違いに長い「広視野スケッチ」ですが、得られたスケッチには圧倒的な迫力があり、それが広視野スケッチの魅力です。 以下に広視野スケッチの実践の結果を示します。 今後も少しずつ挑戦して数を増やしていければと思っています。
詳しくは M31 アンドロメダ銀河 (NGC224) をご覧ください。 (スケッチ所要時間:5時間40分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2021年10月30日 | No.284 | 110倍 | 0.92度 | 約1.4度×1.9度 |
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詳しくは M42 オリオン大星雲 (NGC1976) をご覧ください。 (スケッチ所要時間:5時間50分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2021年12月25日, 2022年1月4日 | No.292 | 220倍 | 0.45度 | 約0.9度×0.9度 |
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詳しくは M51 子持ち銀河 (NGC5194) をご覧ください。 (スケッチ所要時間:2時間10分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2022年4月2日 | No.307 | 450倍 | 0.16度 | 約0.23度×0.23度 |
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詳しくは M17 オメガ星雲 (NGC6618) をご覧ください。 (スケッチ所要時間:4時間)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2022年6月4日 | No.314 | 250倍 | 0.31度 | 約0.45度×0.45度 |
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詳しくは M42 オリオン大星雲 トラペジウム付近 をご覧ください。 (スケッチ所要時間:3時間10分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2022年12月24日 | No.322 | 890倍 | 0.08度 | 約0.13度×0.13度 |
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公募観測に応募し、美星天文台101cm望遠鏡で広視野スケッチしました。 詳しくは 美星天文台で天体スケッチ:M51 子持ち銀河 をご覧ください。 (スケッチ所要時間:3時間15分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2023年3月18日 | No.326 | 610倍 | 0.16度 | 約0.24度×0.18度 |
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詳しくは M48 干潟星雲 (NGC6523) をご覧ください。 (スケッチ所要時間:5時間45分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2023年6月22日, 2023年6月23日 | No.331 | 180倍 | 0.43度 | 約0.7度×0.9度 |
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詳しくは Arp331 をご覧ください。 (スケッチ所要時間:1時間)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2023年10月7日 | No.338 | 340倍 | 0.22度 | 約0.39度×0.26度 |
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詳しくは NGC80グループ をご覧ください。 (スケッチ所要時間:2時間)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2023年10月14日 | No.342 | 340倍 | 0.22度 | 約0.51度×0.42度 |
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詳しくは NGC4216他 エッジオントリオ をご覧ください。 (スケッチ所要時間:1時間40分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2024年1月20日 | No.358 | 340倍 | 0.22度 | 約0.38度×0.38度 |
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詳しくは C49, C50ばら星雲 (NGC2237) をご覧ください。 (スケッチ所要時間:4時間20分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2024年2月3日 | No.359 | 110倍 | 0.92度 | 約1.7度×1.7度 |
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詳しくは マルカリアンチェーン (M84, M86, 他) をご覧ください。 (スケッチ所要時間:2時間50分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2024年2月10日 | No.362 | 110倍 | 0.92度 | 約2.0度×2.0度 |
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詳しくは C33, C34網状星雲 をご覧ください。 (スケッチ所要時間:4時間20分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2024年7月5日 | No.368 | 110倍 | 0.92度 | 約1.1度×1.7度 |
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詳しくは C33, C34網状星雲 をご覧ください。 (スケッチ所要時間:3時間30分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2024年7月6日 | No.369 | 110倍 | 0.92度 | 約1.0度×1.5度 |
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詳しくは 夏の天の川 をご覧ください。 (スケッチ所要時間:6時間30分)
スケッチ日時 | No. | 倍率 | 実視野 | スケッチ範囲 |
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2024年7月27日, 2024年7月28日 | No.370 | 1倍 | - | - |
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