望遠鏡の視野よりも大きく広がった天体をスケッチしたい、また倍率を上げて詳細をスケッチしながら全体もスケッチしたいと考えました。 このような天体スケッチを「広視野スケッチ」と呼ぶことにしました。 ここでは広視野スケッチの具体的な方法と実践について紹介します。

  1. 広視野スケッチの目的
  2. 広視野スケッチの方法
  3. 広視野スケッチの実践

1. 広視野スケッチの目的

大口径の望遠鏡は「集光力」「分解能」に優れ淡い天体の詳細を見ることを可能にします。 一方で「低倍率」「広視野」が得られない弱点があります。 これは瞳径が7mm以上は大きくならないというヒトの目の性質によるものですが、これが天体スケッチをする上でも大きな制約となっています。

またヒトの目の性質から、淡い天体の場合にはある程度大きく拡大して見ないと(高倍率にしないと)見えないことに気が付きました。 具体的にはヒトの目は 1.5度 よりも小さな淡い構造を見分けられません。 小さくて淡い天体や複雑な構造をもつ天体は高倍率で大きく拡大しないとその詳細を見ることができません。

そのため詳細を見るため高倍率にしたいけれど視野からはみ出してしまい一度に見ることができない、スケッチできないといったジレンマがあります。

なんとか大口径望遠鏡の「集光力」「分解能」を生かしたスケッチが描けないか、「低倍率」「広視野」が得られない弱点を克服できないか、それを実現する方法として「広視野スケッチ」を考えました。

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2. 広視野スケッチの方法

大口径望遠鏡の「集光力」「分解能」を生かしつつ、「低倍率」「広視野」を得られる天体スケッチの方法を考えた結果、白紙のスケッチ用紙に黒い厚紙をくり抜いて作った「視野絞」を自由に動かしながらスケッチすることを思いつきました。 この手法のことを「広視野スケッチ」と呼ぶことにしました。 スケッチのモザイク合成 に近い技法ですが、広視野スケッチではパソコンを使わず1枚のスケッチ用紙に観望地で描いていくという違いがあります。

具体的には以下に挙げるような黒い厚紙に直径75mmの穴をあけ、これを使って視野を移動させて1枚のスケッチ用紙(白紙のコピー用紙)に天体をスケッチします。

黒い厚紙

まず1視野分の恒星をプロットし、次に1/2~1/3程度オーバーラップさせるように黒い厚紙を動かして隣の領域も恒星をプロットします。 これを繰り返すことで視野を広げてスケッチ用紙に天体を記録していくことになります。

黒い厚紙 黒い厚紙

星と星の位置関係はかなり丁寧に確認しないと徐々にズレてきて、そのうち破綻します。 どこをスケッチしているのか、また見ている星が既にプロット済みの星かどうかなど、丁寧に確認しながら集中した作業が必要で技術的にかなり難しいスケッチになります。 実際にM31やM42のスケッチでは6時間近く集中して描く必要がありました。

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3. 広視野スケッチの実践

技術的に描くのが難しく、また必要な時間も桁違いな「広視野スケッチ」ですが得られたスケッチには圧倒的な迫力があり、それが広視野スケッチの魅力です。 以下に広視野スケッチの実践の結果を示します。 今後も少しずつ挑戦して数を増やしていければと思っています。

3.1. M31 アンドロメダ銀河 (NGC224)

詳しくは M31 アンドロメダ銀河 (NGC224) をご覧ください。

M31アンドロメダ銀河のスケッチ

広視野スケッチのデータ
スケッチ日時No.実視野スケッチ範囲
2021年10月30日No.2840.92度約1.4度×1.9度

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3.2. M42 オリオン大星雲 (NGC1976)

詳しくは M42 オリオン大星雲 (NGC1976) をご覧ください。

M42オリオン大星雲のスケッチ

広視野スケッチのデータ
スケッチ日時No.実視野スケッチ範囲
2021年12月25日,
2022年1月4日
No.2920.45度約0.9度×0.9度

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3.3. M51 子持ち銀河 (NGC5194)

詳しくは M51 子持ち銀河 (NGC5194) をご覧ください。

M51 子持ち銀河 (NGC5194)のスケッチ

広視野スケッチのデータ
スケッチ日時No.実視野スケッチ範囲
2022年4月2日No.3070.16度約0.23度×0.23度

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3.4. M17 オメガ星雲(NGC6618)

詳しくは M17 オメガ星雲 (NGC6618) をご覧ください。

M17 オメガ星雲 (NGC6618)のスケッチ

広視野スケッチのデータ
スケッチ日時No.実視野スケッチ範囲
2022年6月4日No.3140.31度約0.45度×0.45度

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