以前使用していた国際光器のレーザーコリメーターIVの光軸が狂ってしまったので調整を試みたのですが、誤ってネジをなめてしまい、光軸を合わせることが出来なくなってしまいました。 そこで手持ちのレーザーポインターを用いて(市販品より高精度?な)レーザーコリメーターの自作を試みました。
なおレーザーポインターは取り外せないため、学会でのプレゼンなどではレーザーコリメーターを振りかざす必要がありそうです(笑)
長さ | 250mm |
重さ | 未計測 |
レーザーポインタ | コクヨ サシ-50N |
精度 | +/- 0.04度(+/- 2.5分角) |
本当は外形Φ50.8mm、内径φ40mm程度の真鍮パイプで作りたかったのですが適当な材料が入手出来ませんでした。 手頃なΦ50mmのパイプを探すと t=2mm のアルミパイプがありましたが、これは薄すぎるのでタップを立てるのは不安です。 そこでタップを切る代わりに中空用アンカー(中空壁用ナット)を用いてねじ山を設けることにしました。
レーザーポインターを固定するねじは4本×2の計8本です。 3本×2でも良いのですが、これだと1本緩んでしまうと光軸がずれてしまいます。 4本であれば1本緩んだとしてもそう簡単にずれたりないはず、と考えました。
設計図はPDFファイルで公開しています。フリーの二次元CAD AR_CADを用いて作図しました。
使用したレーザーポインターは真鍮のパイプで作られていたので補強なしでそのまま使用しています。 なお水道用の塩ビ管は近似内径で識別されるので(呼び径)買うときは注意が必要です。
まずアルミパイプ型紙を用いてアルミパイプをけがきます。 次に卓上ボール板を用いて穴を開け、中空用アンカーを取り付けます。 φ40mm の穴は小さな穴をたくさん開けてヤスリでつなげました。 投影板はパターンを印刷した紙を t=0.5mm のアルミ板に張り付け、塩ビ管を45度に切った台座で固定します。 アルミパイプはΦ50mmなので2インチスリーブ(Φ50.8mm)に取り付ける為に接眼スリーブ部分にアルミテープを巻きます。 ここまで3時間程度で製作できました。
後述のレーザーコリメーターの光軸を調整する為のジグを作ります。 写真のように材木にキャスターを4つ付けただけです。この上にレーザーコリメーターを載せて回転させることでレーザーコリメーターの光軸を調整します。
アルミパイプが真円であると仮定すると、光軸調整ジグの上に載せてコリメーターを回転させるとアルミパイプの軸を中心に回転するはずです (残っている自由度は 2 ですが回転の他には回転軸に対して垂直方向の平行移動の自由度なのでこの場合は問題ありません)。 この軸とレーザーポインターからの光の軸が一致するように合計8本のねじを調整します。 壁にレーザーを投影し、ジグの上でコリメーターを何度も回転させて調整します。 アルミパイプとレーザーポインターの軸が一致していないと、壁に投影されたレーザー光はコリメーターをジグの上で回転させることでアルミパイプの回転軸を中心に円を描きます。 なのでレーザー光が円を描かなくなるように調整します。
自作40cmドブソニアンは焦点距離がおよそ2mなので、往復距離の4mで軸が一致すれば良い事になります。 私のレーザーポインタはレーザーの形が 5mm×3mm の長方形?のような形をしているのであまり精度良く調整できません。 なので 4m 離れた標的にレーザーのぶれが 3mm 程度になるように調整しました。これは角度にして0.04度の精度ということになります。
ちなみに、この調整は技術的に難しいことは何もなく、レーザーポインターがどう向いているかを考えて調整すれば簡単に行う事が出来ます。
レーザーコリメーター本体の光軸ズレは移動の時の車の振動程度では問題ありませんでした。 しかしΦ50mmの筒を2インチスリーブに取り付けるためにアルミテープを巻いて太くしたのですが、このアルミテープが柔らかく、接眼部の取り付け誤差が2~3度もあることが後に分かりました。 このためアルミテープの取り代わりにt=0.04mmのステンレステープを巻いてみました。 これはアルミテープより堅く、取り付け誤差がだいぶ減りました。
さらに、このまま運搬するのは光軸ズレ等のトラブルの原因となると考えられるので、段ボールで専用のケースを作りました。