ここではロッカーボックスについて検討します。 高度軸・水平軸にについては 4.10. 高度軸・水平軸 で検討しました。
結論: 自作60cmドブソニアン計画では高剛性のため側面は4面作り、「ロの字」型とする。
自作40cmドブソニアンの ロッカーボックス では高度軸を支える2面、正面側の1面の3面のみ側面を作って「コの字」型としました(下図左)。 これでも強度的に特に問題は感じませんでしたが、水平回転させようとした場合に「コ」の端の部分が上下にねじれるような力が加わる事になります。 また同様に振動についても、このモードでの振動が考えられます。
そこで強度的な観点から側面は4面ある「ロの字」型にした方が有利と考えられます(上図右)。 自作60cmドブソニアン計画では口径が1.5倍となるため重量が体積で決まるとすると1.53=3.375倍となり、それを支えるロッカーボックスの剛性は高い方が望ましいと考えます。
そこで自作60cmドブソニアン計画では少しでも剛性を稼ぐため、ロッカーボックスの側面は4面作り、ロの字型とすることにします。ページの先頭に 戻る
60cmドブではないのですが 自作15cmドブソニアン の製作では製作の都合からまず「コの字」型のロッカーボックスでしばらく運用後、「ロの字」型に変更しました。 これが効果絶大で、水平回転させたときの剛性感が全く異なり、かなり剛性・操作性が向上したように感じました。 わずかな違いのようですが、これはかなり有意な違いでした。 よってロッカーボックスは「ロの字」にすることが剛性のため重要な要素だったと改めて思いました。
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結論(設計変更): 自作60cmドブソニアン計画ではロッカーボックスの底面は鏡筒の振動特性に大きく影響する。 十分な剛性を確保できるよう、底面は厚く作る必要がある。
(過去の結論: 自作60cmドブソニアン計画ではロッカーボックスの底面は薄くし、強度と軽量化を両立させる。)
2.6. 水平軸 に書いたように、自作40cmドブソニアンではロッカーボックスが重すぎ、取扱が大変でした。 これはロッカーボックスの底板を 12 mm厚の合板を2枚張り合わせて作ったからでした。 強度的にはあまり意味は無いように思います。 そこで自作60cmドブソニアン計画ではロッカーボックス底面の板厚は必要十分な強度を有しつつ、できるだけ薄くし、強度と軽量化を両立させたいと思います。 具体的には 20 mm 程度の板厚とし、ここを以上に厚く重くしないようにしたいと考えます。
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当初はロッカーボックスの底面が分厚いと重量が増大するだけと考えていましたが、望遠鏡の 固有振動数の測定 をしていくうちにロッカーボックスの底板が薄いために固有振動数が小さくなっていることが分かりました。 これは高度軸より上の荷重はロッカーボックスの側面が支え、その荷重をロッカーボックスの底面が支え、水平軸のパッドに荷重を伝えることになるのですが、底面の剛性が不足していると底面がバネのようになって、この部分で剛性が不足し、固有振動数が小さくなってしまうと考えました。
そこでロッカーボックスの底面に 18 mm のバーチ合板を追加し、底板の厚さを 38 mm と補強したところ固有振動数は 6.1 Hz から 8 Hz に大きくなり、時定数も若干小さくなり、剛性が高くなりました。 というわけでロッカーボックスの底面は剛性にけっこう重要な箇所で、ここはしっかりと剛性を確保できる構造とする必要があるようです。
ロッカーボックスの底面をがっちりと作るとロッカーボックスの重量は重くなり、またロッカーボックスの高さも高くなってしまいますが、これは必要悪ということと考えます。 合板を重ねて作るのではなく、4.3. 主鏡セル で使ったような鉄角パイプでがっちりと作るのが良いかもしれません。
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結論: 自作60cmドブソニアン計画ではロッカーボックスはできるだけ軽く作る。
2.6. 水平軸 に書いたように、自作40cmドブソニアンではロッカーボックスが重く、取り扱いが大変でした。 そこで自作60cmドブソニアン計画では、ロッカーボックスは必要な強度を確保した上で、できるだけ軽くなるよう設計することします。
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結論: 自作60cmドブソニアン計画ではロッカーボックスの高さはできるだけ低くなるようにする。
3.2. F値と焦点距離 に書いたように、自作60cmドブソニアン計画では焦点距離は約 2 m となる想定です。 そのため天頂付近の天体を見るためには脚立を使う必要がありますが、できるだけ全高が低くなるように作る方が、運用上も安全上も有利と考えられます。 また振動の観点、重量の観点からも、ロカーボックスの高さは低ければ低いほど良いと考えられます。 そこでロッカーボックの高さは最低限度とし、できるだけ低くなるよう設計することとします。
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結論: グランドボードは強度はほとんど不要。最低限の構造とし、軽く作る。
グランドボードは上面は水平軸のテフロンパッドが取り付けられ、下面は脚が取り付けられる部分となります。 荷重はまっすぐ下にかかるように作ることで、グランドボード自体には強度は不要で、簡単な構造として軽く作ることができると考えます。
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結論(設計変更): ロッカーボックスの脚の高さは凸凹した不整地でも使用するためにはある程度の高さが必要。
(過去の結論: ロッカーボックスの脚の高さはきるだけ低くなるように作る。)
4.11.4. ロッカーボックスの高さ と同様、焦点距離が約 2 m となる想定の自作60cmドブソニアンは天頂付近の天体を見るためには脚立を使う必要がありますが、できるだけ全高が低くなるように作る方が運用上も安全上も有利と考えられます。 ロッカーボックスの脚部は三脚でいう「石突」に相当しますが、ここを必要以上に高くすると、全高が高くなってしまいます。 そこで脚の高さは最低限度とし、できるだけ低くなるよう設計することとします。
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できるだけ低い脚を考え、当初 25 mm で製作したところ、アスファルトの上などでは全く問題なかったのですが砂利などの凸凹した不整地ではこれだとグランドボードが地面に触れ、望遠鏡が安定しませんでした。 よって脚は程度の高さがないとダメでした。 その後高さ 36 mm で脚を作り直したところ地面にグランドボードが擦れてしまう問題は生じなくなりました。 舗装された駐車場のような場所のみで使用するのであれば問題ないと思うのですが、砂利や土の上に望遠鏡を組み立てて使用する場合にはグランドボードの脚はある程度の高さが必要だと言えます。
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結論(設計変更):自作60cmドブソニアン計画ではロッカーボックスに「つっかえ棒」を入れ、主鏡セルと高度軸を組み立てる。
(過去の結論:主鏡セルにジャッキ機構を組み込むことでロッカーボックス上で安全・簡単に主鏡セルと高度軸を組み立てられるようにする。)
自作60cmドブソニアン計画では高度軸は簡単に主鏡セル(ミラーボックス)から取り外せる構造にしてコンパクトに収納できるようにしたいと考えています。 このような構造にした場合、実際の運用を考えると以下の手順で組み立てる事になると予想されます。
自作60cmドブソニアンの場合だと主鏡セル(ミラーボックス)は主鏡と併せて合計約 35 kg 以上はあると考えられるため、人力で少し浮かせるというのは困難です。 そこで主鏡セルにジャッキを組み込み、安全かつ簡単に主鏡セルを上下に動かせる構造を組み込みたいと考えます。
ジャッキを伸ばした状態で高度軸を取り付け、その後ジャッキを縮めることで高度軸が取り付けられた主鏡セル(ミラーボックス)をロッカーボックスに下ろすことで、 ゆっくりと楽に、そして安全に高度軸を取り付けられる構造としたいと思います。
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主鏡セルの四隅にそれぞれ1本ずつジャッキ機構(M8ネジ)を組み込みましたが、ジャッキを回して高さを変えるのが思いのほか大変で、実用的ではありませんでした。
そこで主鏡セル側にジャッキを仕込むのではなく、望遠鏡の組み立て時にはロッカーボックス側にちょうどよい高さとなるような「つっかえ棒」を入れる構造に変更しました。
ロッカーボックスに主鏡セル(ミラーボックス)を仮に置く際にはロッカーボックスに入れた「つっかえ棒」の上に置きます。 こうすることで主鏡セル(ミラーボックス)はロッカーボックスから少し浮かせた状態となるため、この高さで高度軸を取り付けます。 その後「つっかえ棒」をロッカーボックスから取り外すことで、組み立てが完了します。 この構造の方がシンプル・簡単・安全なため、自作60cmドブソニアンではこの構造に変更しました。
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