Nikon NAV-14SW

Nikon NAV-14SW side view
Nikon NAV-14SW

EiC-16 と組み合わせて使用する事で焦点距離8.8mmの接眼レンズとして機能することを期待して購入したアイピース。 射出レンズは NAV-7SW と同一と思われるがコーティングの色が違う (NAV-14SWは黄、赤、青の順に反射光が見えるのに対し、NAV-7SWは青、非常に薄い赤、黄色の順に見える)。 SWシリーズで唯一の5群6枚で、他のアイピースより1枚レンズが少ないとのこと。

2015年1月末に時間が取れたので自宅庭に 自作40cmドブ を組み立ててNAV-14SWの評価を行った。 そして分かったのだがNAV-14SWには樽型の歪曲収差があるようだ。パラコア2 の有無、EiC-16 の有無のいずれの場合でも樽型の歪曲収差が見られたのでこれはNAV-14SW由来のものと思われる。 樽型の歪曲収差とは中心部ほど倍率が高く周辺部は倍率が低い事を意味する。

2015年2月1日に木星を観望したが、視野周辺にいくほど木星が歪み、小さく見えたので間違いなく樽型の歪曲収差があると言える。 比較に用いた NAV-10SW では木星の形や大きさの変化はわからなかった(すなわちNAV-10SWは糸巻き型の歪曲収差がある)。 私にとっては残念な結果だ。 天体のスケッチ用にと思って購入したが、樽形の歪曲収差があると星の位置関係が視野の場所によって変わってしまうため天体スケッチでは使いづらい。 視野中心付近のシャープネスなどの評価は歪曲収差に気を取られ、評価はすっかり忘れてしまった。

Nikon NAV-14SWの仕様
焦点距離14 mm (14.0 mm)
視野絞直径17.6 mm
見かけ視野72度
アイレリーフ17.9 mm
射出レンズ直径24.0 mm
重量270 g
レンズ構成5群7枚
ピント位置? mm
パラコア2位置B [-7.6 mm] 付近
生産国日本

註:カタログスペックより実測値を優先して記載。括弧内は視野絞直径から計算した値。

参考写真

Nikon NAV-14SW side view 2
目当てゴムを引き出した状態のNikon NAV-14SW
Nikon NAV-14SW top view
射出レンズ側から見たNikon NAV-14SW
Nikon NAV-14SW bottom view
入射レンズ側から見たNikon NAV-14SW。

履歴

樽形の歪曲収差に満足出来ず、直後に Tele Vue Delos 14mm を購入し、NAV-14SWは手放すことにしました。 ただし 自作40cmドブ自作60cmドブ だと14 mmという焦点距離は少し中途半端なためか、あまり使う機会も無く、Delos 14mmも結局手放しました。

Nikon NAV-10SW

Nikon NAV-10SW side view
Nikon NAV-10SW。 2''アダプターに Howie Glatter Parallizer を常用している。

NAV-12.5HW + EiC-H10 の星像は非常にシャープで見かけ視野も102度もあって非常に気持ちよいのだが、天体スケッチ では見かけ視野が広いと星の位置が不正確になったりスケッチにかかる時間が長くなったりするためあまり適していない。 そこで同じ焦点距離で見かけ視野がそこそこ狭いが NAV-12.5HW + EiC-H10 と同様かそれ以上にシャープなアイピースを探し NAV-10SW の購入に至った。

NAV-10SW の購入前、幸運なことにサークルの別々の後輩が Ethos 10mm と Delos 10mm をそれぞれ購入して所有していたので、これらと NAV-12.5HW + EiC-H10 と比較することが出来た。 この比較によって Nikon と Tele Vue でアイピースの設計思想が明確に違うことに気がついた。 Tele Vue はあえて最微光星が分からない程度の解像度を意図して設計され、天体の構造や配列、色を強調するのに対し、Nikon はひたすら高解像度を狙って設計され、高精細にありのままの天体の姿を見せるように感じた。 Delos 10mm は Ethos 10mm と同じ傾向で星の色や明るい星列といった天体の特徴は見事に表現していたのだが星像のシャープさは NAV-12.5HW + EiC-H10 には及ばなかった。 そのため Nikon が高解像度を意図してアイピースを開発したと考えると、NAV-12.5HW + EiC-H10 と同じようなシャープな星像がNAV-SWシリーズで得られるのでは?と考えた、購入に経った。

前置きが非常に長くなってしまったが、購入後、シーイングの良い夜に NAV-12.5HW + EiC-H10 と比較してみたところ、星像のシャープさは同等で区別が付かなかった。 ごまかしの無いシャープな結像だ。私の設計思想の考察は間違っていなかったのだろう。 加えて NAV-10SW のほうが明らかに星雲が明るく見えた。M57 リング状星雲 を観望すると明らかにガスが濃く見えた。 ステファンの五つ子 を見ると最も明るく大きく見える NGC7320 が NAV-12.5HW + EiC-H10 と比較してより大きく見えた。 これらは NAV-10SW の透過率の高さが要因だろうか? NAV-10SW は6群8枚と、10群12枚の NAV-12.5HW + EiC-H10 よりも構成レンズ枚数が少ない。

Nikon NAV-10SWの仕様
焦点距離10 mm (10.0 mm)
視野絞直径12.6 mm
見かけ視野72度
アイレリーフ18.5 mm
射出レンズ直径29.0 mm
重量420 g/290 g
レンズ構成6群8枚
生産国日本

註:重量、ピント位置、パラコア2位置はHowie Glatter Parallizer使用時 /31.7mmスリーブ使用時の順に記載。 カタログスペックより実測値を優先して記載。 括弧内は視野絞直径から計算した値。

参考写真

Nikon NAV-10SW top view
射出レンズ側から見たNikon NAV-10SW
Nikon NAV-10SW bottom view
入射レンズ側から見たNikon NAV-10SW。

履歴

NAV-10SWは気に入って使っていたアイピースですが、ほぼ同じ見かけ視野の Pentax XW 10 と比較すると、XW10 のほうがわずかに透過率が高く、コントラストが高く、見えるかどうかギリギリの非常に淡い天体の検出に優れていることが分かり、NAV-10SWは手放すことにしました。

Nikon NAV-7SW

Nikon NAV-7SW side view
Nikon NAV-7SW。 2''アダプターに Howie Glatter Parallizer を常用している。

かねてからシャープな高倍率アイピースが欲しいと考えていたが、シャープさに疑問があったことや使用頻度があまり高くないことが予想されたのでなかなか踏み切れなかった。 しかしハワイ島に引っ越してからシーイングが良い日が多く、高倍率が欲しくなった。 NAV-12.5HW + EiC-H10NAV-10SW のシャープな星像から、同様なシャープな星像を期待してニコンのこのアイピースも追加で購入した。

射出レンズの直径は24.0mm。 NAV-10SWの射出レンズと直径が異なる(NAV-10SWは29.0mm)。 購入前は同じシリーズのアイピースなので射出レンズは同じものが使用されていると思っていたが異なるものが使われているようだ。 カタログには「アイレリーフの数値にこだわるのではなく、性能優先光学設計とし」とあり、これは結像性能を優先した結果なのだろう。 結像性能に期待が持てる。

購入後は 自作40cmドブ で何枚かスケッチをとったが、期待通りの高い倍率とシャープな星像からこれまでより天体の詳細がスケッチできるようになった。 購入直後にとったのが NGC2903。 期待通りのシャープな星像が得られ、快適にスケッチできた。 NGC2903は低倍率で見ていたためこれまで楕円銀河のように見えると思っていたが、思い切って拡大してみると確かに棒渦巻き銀河だと言うことが分かった。 自作60cmドブ でとった最初の天体スケッチ M51 子持ち銀河 もこのアイピースでとった。

焦点距離 7 mmは自作40cmドブの場合は瞳径が小さくなりすぎる (1.4 mm) のが難点だが、自作60cmドブでは瞳径は1.8 mmと大きくなり、このアイピースが主力となる。

Nikon NAV-7SWの仕様
焦点距離7 mm (7.0 mm)
視野絞直径8.8 mm
見かけ視野72度
アイレリーフ17 mm
射出レンズ直径24.0 mm
重量416 g/286 g
レンズ構成6群8枚
生産国日本

註:重量、ピント位置、パラコア2位置はHowie Glatter Parallizer使用時 /31.7mmスリーブ使用時の順に記載。 カタログスペックより実測値を優先して記載。 括弧内は視野絞直径から計算した値。

参考写真

Nikon NAV-7SW top view
射出レンズ側から見たNikon NAV-7SW
Nikon NAV-7SW bottom view
入射レンズ側から見たNikon NAV-7SW。

履歴

しばらく気に入って使ってきたものの、いまいちヌケが悪く、シャープさもあまり良くないように感じた。そこで Pentax XW 7 を購入して比較したところ、XW7 のほうが明らかに背景が暗く、コントラストが高く感じました。 そのためNAV-7SWも手放すことにしました。